素材について
コア材料の特徴とコアに加工した場合の特性資料をご案内いたします。
コア材料
ナノ結晶合金ファインメット®
高飽和磁束密度、高透磁率、低コアロスを実現したナノ結晶材料ファインメット®(株式会社プロテリアル製)です。磁束密度はFe基アモルファス合金と同等で、厚さは約20umと極めて薄いため渦電流損失が少なくコアロスはFe基アモルファス合金の1/5以下です。コアに磁界を印加した際の形状の変形(磁歪)が小さいため、騒音は小さくなります。
Fe基アモルファス合金Metglas®
交流電流により材料が磁化される方向が反転する際、原子磁石の向きがスムーズに変わることでコアによる損失(ヒステリシス損)を低く抑えることが出来ます。原子磁石の反転は磁壁の移動が伴いますが、アモルファス合金にはそもそも結晶構造がなく磁壁の移動を妨げる結晶粒界が存在しないため、スムーズに原子磁石の向きが変わります。また、板厚も約25umと薄いため渦電流損失も小さく、高飽和磁束密度でありながら一般の方向性電磁鋼板と比べてコアロスが低い特徴があります。
そのため高周波域で主に使用され適用周波数域は10kHz~100kHz超付近です。アモルファス合金で作られたコアは磁界を印加した際の形状の変形(磁歪)が大きく、それにより比較的騒音が大きい特徴があります。弊社では株式会社プロテリアル(旧日立金属株式会社)製Metglas®を使用します。
6.5%高珪素鋼帯スーパーコア®
一般的な電磁鋼板は約3%のケイ素を含有していますが、本来は6.5%を含有した場合に、コアロスや透磁率の特性が最も良くなることが知られていました。ケイ素の量を増やすことで材料が脆くなることから実用化されてきませんでしたが、技術開発によりJFEスチール株式会社が工業化した6.5%珪素鋼板がスーパーコア®(10JNEX、板厚0.1mm)です。高周波域で主に使われ適用周波数域は400Hz~30kHz付近です。コアを磁化した際の変形(磁歪)が極めて小さく、一般的な方向性電磁鋼板と比較しても非常に低騒音です。
3.0%方向性電磁鋼板
変圧器(トランス)や電流センサー用のコアなどでは、長手方向に磁化し易い方向性電磁鋼板を用います。Fe(鉄)原子の結晶方位とコアを通る磁束の向きを同じにできることが、巻き加工で作るコアが磁気特性に優れる理由です。飽和磁束密度が高く比較的安価であることから低周波数域の変圧器、変流器(CT)、電流センサーで主に使われ、適用周波数は50Hz~400Hz付近です。日本製鉄株式会社が製造するオリエントコアハイビー®ZH、オリエントコアハイビー・レーザー®ZDKH®、オリエントコアハイビー・パーマネント®ZDMH®を使用し、巻きコア材料で最も一般的な鋼板の厚さは0.23㎜です。ケイ素を含有していることから珪素鋼板やGOとも呼ばれます。
横方向にスクロールできます
トロイダルコアに加工した場合のBH比較
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トロイダルコアに加工した場合のコアロス比較 (f=10kHz B=0.1T)
※BH、コアロスは参考値です。
※コア特性は材料特性を反映したものになりますが、材料特性そのままではなく、コア特有の特性を持ちます。
極薄電磁鋼帯GTseries
コアに磁束が通ると誘導起電力によりコア内に渦電流(うずでんりゅう)と呼ばれる電流が流れ、そこでジュール熱が発生することで電力が失われます。これは鋼板の厚さが厚いほど発生しやすいため、電磁鋼板を薄板化して渦電流を低減する目的で開発された材料が極薄電磁鋼帯です。コアによる損失(コアロス)に占める渦電流損失の割合が大きくなる400Hz~40kHz付近の高周波域に適用となります。弊社では日本金属株式会社の製造するGTシリーズのうち厚さ0.10㎜と0.05㎜の二種類を使用します。